【書評】「水の音楽」読売新聞 2001年10月21日 評・川村二郎(文芸評論家)

水にまつわる古来の神話伝承と、それを主題にした音楽と文学作品を網羅した、多彩にして変転常なき水の迷宮の案内記である。中心にあるのは、人間の男を誘惑し破滅させ、時には自らも破滅する、ローレライ、メリュジーヌ、オンディーヌなどと呼ばれる水の妖精たちの群像。あるいは残酷なあるいは可憐なこれら魔性の女たちの、男とのかかわり方を、こまかく博物誌風に分類した末、著者は、一番恐ろしいのは、何の悪意も持たず何もしていないのに、まわりの男たちを不幸に陥れ死なせてしまう、ドビュッシーがオペラ化したメーテルリンクの劇の女主人公、メリザンドだという。存在そのものが悪だという点で、ただの透明な水の恐ろしさにひとしいというのである。

ドビュッシーとラヴェルの水の感触の違いを指摘する所などと併せ、ずばりと核心を衝く論述が、鮮やかで小気味よい。「水の音楽」を自在に演奏するピアニストが、文章の世界でも力強く縦横に弾きまくっている。

水の音楽 オンディーヌとメリザンド
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